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ファンクショナルトレーニングの効果を最大限高めるために必要な法則

ファンクショナルトレーニングの効果を最大限高めるために必要な法則

海外で話題のファンクショナルトレーニング

日本では、有名な女性タレントがパーソナルトレーニングでファンクショナルトレーニングを指導されている光景がテレビで放送されていたりします。

でも、ファンクショナルトレーニングと一般的なトレーニングの違いがはっきりわからないという方が多いのではないでしょうか?

なんとなくファンクショナルトレーニングっぽいトレーニングだったり、軽い重さで色々と身体を動かせば…それっぽく見える。

確かにバックスクワット(バーベルを担ぐスクワット)でも、ファンクショナルトレーニングになったりするのも事実です。

では、その大きな違いは一体何なのでしょうか?

実は、目的が動きやすい身体を作るトレーニングなのかどうなのかという大きな違いがあります。

それではこれから、実際にパーソナルトレーニングの現場でも行われているファンクショナルトレーニングの一部をご紹介しながら「ファンクショナルトレーニングとは?」に迫っていきたいと思います。

ファンクショナルトレーニングを今すぐ実践したい方はこちらからご覧下さい

 

ファンクショナルトレーニングとは?

ファンクショナルとは、日本語で「機能的」という意味です。

つまり、機能的トレーニング=「動作を向上させるトレーニング」=「目的としているスポーツパフォーマンスや日常生活動作が向上するトレーニング」という解釈になります。

ファンクショナルトレーニングと従来のトレーニング

ファンクショナルトレーニング 従来のトレーニング
動作を向上させる 筋肉量を肥大させる

しかし、未だにファンクショナルトレーニングのはっきりとした定義づけされていないのも事実です。

そこで、ここでは有名なファンクショナルトレーニングの著書からファンクショナルトレーニングの定義づけを行なってからトレーニングの実践方法をご紹介したいと思います。

 

ファンクショナルトレーニングの5大原則

  1. 重力(gravity)を利用する
  2. 分離(dissociate)と協同(integrate)
  3. キネティックチェーン(kinetic chain)
  4. 3面運動(3 dimension movement pattern)
  5. 力の吸収(loading)と力の発揮(unloading)


ファンクショナルトレーニング 機能向上と障害予防のためのパフォーマンストレーニング

編:中村 千秋

著:渡部 賢一・鈴木 岳・北川 雄一

出典:FITNESS ONLINE

ここでは、専門的内容を省いて一般の皆様にもファンクショナルトレーニングを実践していただけるように詳細につきましては割愛させていただきますので、ご興味のある方は上記の著書またはホームページを参考にしてください。

 

動作の質を向上させるトレーニング

具体的に動作を向上させるとは、下記のようなことが当てはまります。

スポーツ 日常生活
野球のピッチング動作 重たい荷物を持ち上げると腰が痛くなる
サッカーのボールを蹴る動作 外を歩いていると膝が痛くなる
ダンスのような自由自在な動作 何気なく腕を動かしていると肩が痛くなる

 

このような動作を向上させるためのトレーニングがファンクショナルトレーニングです。

つまり、筋肉をつけたり重たいものを持ち上げたりするわけではなく「目的としている動作を向上させるためのトレーニング」と言えます。

 

マシントレーニングやウエイトトレーニングと大きく異なる点

マシントレーニングとファンクショナルトレーニングの違い

前述した通り、筋肉をつければ何でも向上するのか?と言われると疑問点が残ると思います。

マシントレーニングの場合は、軌道が(関節の動きが)制限されています。

筋肥大を目的としたウエイトトレーニングは、筋肉はつきますが動作は向上するのか?

トレーニング中の動きがある一定方向にしか動かせなかったら実際に競技と異なる動きになります。

筋肥大をしても本当にそれが動作の中で発揮されるのかどうかは不明です。

マシンやウエイトとの大きな違いは、機能的な動作を獲得することが「ファンクショナルトレーニング」です。

 

ファンクショナルトレーニングを実践する方法

動作を向上するためには、今の自分がどれだけ動けるのか知っておく必要があります。

なぜなら、動作を向上させるために必要な要素は以下です。

動作の質を向上させる要素

動作を向上させるために必要な要素
柔軟性 安定性 コントロール
コントロールとは、主にモーターコントロール(運動制御)のことを指しています。

どれが足りなくてトレーニングをしなければいけないのか理解するには、正しいアセスメント(評価)が必要です。

 

アセスメント(評価)

ファンクショナルトレーニングの評価風景

実際にトレーニング前に行われている評価方法の一部

動作を向上させるためには、正しい評価が必要です。

評価方法は、様々な方法が紹介されていますが、評価のポイントはどれも似ていると言えます。

これらの評価を基に必要なストレッチやエクササイズを行うことが望ましいです。

 

 動作の評価に基づいたストレッチやエクササイズが重要

ファンクショナルトレーニング前のストレッチ光景

評価に基づいてストレッチを行うことが効果的です

アセスメント(評価)を基にしてストレッチやエクササイズを決めていきます。

何故なら、従来のトレーニングのように筋肉をつけるわけではなく「動作の向上」を目的としているからです。

的確なストレッチやエクササイズは、評価の結果を改善してくれます。

 

ファンクショナルトレーニング

代表的なファンクショナルトレーニング

代表的なファンクショナルトレーニングの一例

ファンクショナルトレーニングと言っても、従来のトレーニングとそんなに変わらないと思うかもしれません。

専門的なことを割愛させていただくと「筋肥大を目的とするわけではなく、機能的な動作の習得を目的としたトレーニング」なので重たいウエイトを担いだりもしますが、機能的かどうかが大きく異なります。

 

アセスメントが必要な理由

ここまでご覧になった皆さんは「今までのトレーニングとあんまり変わらないんじゃ…」と思っていますか?

つまり、ファンクショナルトレーニングと言っても「これがファンクショナルトレーニングです!」というよりも

「この動作を機能的にするためには、このストレッチとこのエクササイズとこっちのストレングストレーニングをやった方が良いですよ!」

という包括的なアプローチを指しています。

そのためにも、最初の評価がしっかりとしていなければファンクショナルトレーニングの効果が発揮されません。

 

専門的な動作分析(評価)で苦手な部分がわかる

今の時代であれば、トレーニング方法を探そうと思えばいくらでも見つかると思います。

しかし、より専門的なアセスメント(評価)が欲しければ、いくらパソコンの前に座っていてもあなたの評価は見つからないかもしれません。

なので、理想は専門的なトレーナーの指導の下で行うのが一番です。

 

セルフスクリーニングのすすめ

「いくらアセスメント(評価)が重要だと言われても…いきなりそんな専門的なトレーナーなんて見つからない」

むしろ、何処に行けば解決してくれるのかわからないというこよもあり得ます。

なので、ここからは自分でチェック出来る簡単な評価方法をご紹介させていただきます。

その評価方法に基づいたトレーニングプログラムの一例をご紹介させていただきますので、取り組んでみて下さい。

 

ファンクショナルトレーニングのやり方

ここからは、代表的でかつ皆さんでも簡単に動作をチェックすることが出来る「オーバーヘッドスクワット」を例にしたトレーニングプログラムをご紹介させていただきます。

代表的な動作の評価

私たちは、床に力を伝えたり、床から力を貰っている(床反力)以上

どんなに強い体幹や腕の力があっても、効率良く力を伝達することは出来ません。

オーバーヘッドスクワットは、自宅でも簡単に行うことが出来るので挑戦してみて下さい。

オーバーヘッドスクワットテスト

オーバーヘッドスクワットテストの様子

正面から

オーバーヘッドスクワットテストの様子(横)

横から

  1. 棒を持ちます(両手をバンザイしても可)
  2. 手が前に来ないようにゆっくりとしゃがみ込む
  3. ゆっくりと元の姿勢に戻る
  4. 1〜3を3回繰り返す
写真では、深くしゃがみ込めていない。つま先が外を向いてい膝が捻れてしまっています。

 

動作を改善するためのストレッチ・エクササイズ

 

胸の可動域を改善するストレッチ

スクワットをした時に腕が前に出てしまう方は、胸の関節(胸椎)が硬くなっている可能性があります。

胸の関節を伸ばしてあげることで腕が上がりやすくなります。

胸を柔らかくするストレッチ2

胸を柔らかくするストレッチ

  1. フォームローラーやストレッチポールまたは、枕などを背中の下に置く(みぞおちが真下になるようにする)
  2. ゆっくりと背中を伸ばす
  3. 腹筋運動のように背中を丸める
腰の下にフォームローラーを置いてしまうと腰痛の原因になってしまう可能性があるので気をつけて下さい。

 

股関節の柔軟性を改善するストレッチ

スクワットで深くしゃがみ込むことが出来ない方は、股関節の柔軟性に問題がある可能性があります。

最初にストレッチで筋肉や関節の柔軟性を改善するようにしましょう。

股関節の柔軟性を改善するストレッチ

  1. 仰向けになる
  2. 膝を抱えるように股関節を曲げていく(膝が胸に着くようにする)

最初に関節や筋肉の柔軟性を改善した方が良いので、次のスクワットプログレッションよりも先に行うようにしてください。

 

スクワット プログレッション

スクワットで深くしゃがみ込むことが出来ない方は、柔軟性と安定性の両方に問題があるかもしれません。

こちらのエクササイズは、柔軟性と安定性の両方を改善することが出来ます。

スクワットプログレッション スクワットプログレッション2 スクワットプログレッション3

  1. 深くしゃがみ込む
  2. つま先を掴む
  3. 片手を伸ばして後ろを覗き込む
  4. 反対も行う
  5. 5回ずつ繰り返す

深くしゃがみ込めない方にオススメのエクササイズです。

両手でつま先を掴むので安定してしゃがみ込むことができますが、それでも難しい方は踵に板を乗せましょう。

 

ファンクショナル(ストレングス)トレーニング

柔軟性や安定性を改善した後に従来のトレーニングのようなストレングストレーニングを実施します。

柔軟性や安定性が改善していないと動作を機能的にすることは出来ません。

 

ケーブル オーバーヘッドスクワット

空気圧のケーブルマシンは、重心の位置や軌道を制限することがないファンクショナル(機能的)トレーニングに最適なマシンです。

ケーブルオーバーヘッドスクワット

腕を真っ直ぐ伸ばしましょう

ケーブルオーバーヘッドスクワット2

一番下まで深くしゃがみ込みます

代表的なファンクショナルトレーニング

横から見た場合

  1. バーベルを真上に持つ
  2. 手が前に出ないようにゆっくりとしゃがみ込む
  3. 一番下までしゃがみ込んだら元の姿勢に戻る

 

バーベル オーバーヘッドスクワット

ケーブルマシンが一番望ましいですが、環境的に難しい方は、バーベルでも応用が可能です。

バーベルオーバーヘッドスクワット

腕を真っ直ぐ伸ばしましょう

バーベルオーバーヘッドスクワット2

一番下まで深くしゃがみ込みます

  1. バーベルを真上に持つ
  2. 手が前に出ないようにゆっくりとしゃがみ込む
  3. 一番下までしゃがみ込んだら元の姿勢に戻る

 

オーバーヘッドスクワット(ケトルベル)

片手にケトルベルを持つことで左右にぶれやすく(不安定に)なります。

あえて片手にすることによって、よりファンクショナル(機能的)トレー二ングを行うことが出来ます。

ケトルベルオーバーヘッドスクワット

ケトルベルを胸の前で持つ

ケトルベルオーバーヘッドスクワット2

ケトルベルを真上に持ち上げる

  1. ケトルベルを胸の前で持つ
  2. 太ももが地面と平行になるまでしゃがみ込む
  3. 起き上がりながら同時にケトルベルを真上に持ち上げる

上半身と下半身の動きがバラバラにならないように同時に持ち上げます。

 

ファンクショナルトレーニングのまとめ

今回のファンクショナルトレーニングに関するコラムは、いかがでしたでしょうか?

ファンクショナルトレーニングは、動作を機能的にするトレーニングと少し専門的で難しいですが、ご自身で動きの評価やトレーニングの順番を守ることが出来れば、非常に効果の高いトレーニングを行うことが出来ます。

  1. 動きの評価をする
  2. 評価に基づいたストレッチやエクササイズを行う
  3. 最後にストレングストレーニングを行う
  4. 定期的に動きの評価を行う

ご紹介させていただいた「オーバーヘッドスクワットテスト」からの一連のトレーニングプログラムは、一例に過ぎず、個人差もあるため万人に有効ではありません。

興味のある方は、専門的な書籍を購入したり専門的なトレーナーに身体の相談をすることをお勧めします。

 

ファンクショナルトレーニングを1週間続けたリアルな結果

今回のトレーニングモデルになっていただいた髙木トレーナーですが、実は「オーバーヘッドスクワットテスト」のアセスメント結果が悪かったため

「皆さんのお手本にならないといけない!」と決心したようで、このコラム記事を執筆後から1週間ほどファンクショナルトレーニングに取り組むことになりました。

その結果、1週間後の今日に再テストを行うと見事に動作の機能不全が改善して深い位置までしゃがみ込むことが出来ました。

オーバーヘッドスクワットアフター

つま先も真っ直ぐになり、深い位置までしゃがみ込むことが出来ました

オーバーヘッドスクワットアフター2

胸の柔軟性も改善したので、手も前に出なくなりました

まだ完璧ではありませんので、これからもう少しファンクショナルトレーニングに取り組んでいただく予定です。

わかりやすく比較画像を掲載させていただきますので、皆さんの参考までにご覧ください。

ビフォーアフター画像